司法競売の信頼性

代表理事あいさつ

全国競売評価ネットワーク 代表理事 小林 拝

全国競売評価ネットワーク(KBネット)は、全国の評価人が各地方裁判所ごとに設立された評価事務研究会を母体とし、全国的な評価の在り方について、各地のノウハウを集積して、研究討議し、執行裁判所と緊密な連携をとり、更に不動産競売事件に関与する学識経験者等とも意見交換を行いながら、その成果を反映させた競売評価を行い、これを裁判所からインターネット等を通じて利用者に広く提供し、不動産競売事件の迅速かつ円滑な処理に寄与することを目的とし、平成15年に設立されました。以来、「競売評価基準」、「標準書式」を作成する等、司法競売の迅速化と適正化に寄与すべく取り組んでまいりましたが、私達は、このネットワークの活動が、不動産競売市場への参加者の増加、ひいては担保不動産の流動化を通じ、社会・経済に責献し得たものと確信しております。


直近の日本経済は好調を維持し、不良債権比率は1.5%(預金取扱金融機関、平成30年3月現在、金融庁調べ)、企業倒産件数8,111件(「全国企業倒産状況」2018年4月~2019年3月、東京商工リサーチ調べ)で、いずれも過去最低水準となりました。一方、平成25年3月31日に金融円滑化法は終了しましたが、その後も金融庁から「貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めること」、「他の金融機関等と連携し、貸付条件の変更等に努めること」が金融機関に求められ、中小企業を支援する姿勢に変化はなく、実質的「延長」されていると謂え、結果的に不良債権の顕在化が抑制されているのが実情です。それらを反映し、平成22年以降競売申立件数は一貫して減少して参りましたところ、近時一部地域で底打ち傾向が窺がわれるものの、全般的傾向は依然減少傾向と申し上げて差し支えないと考えます。


そのような中にあって、KBネットが最も重要と位置付ける課題は、不良債権処理の場面で、債権者・債務者いずれの側にあっても、「司法競売に委ねること」が最も安心できる選択肢であるという「司法競売の信頼性」を幅広く認識して戴くことと考えております。


KBネットワークでは、委員会等の活動を通して、また各会員が研鑽を積むことにより、その課題を達成できると考えております。具体的には、
 1.適正評価・価格の信頼性
 2.データのフィードバック
 3.物件情報の信頼性
 4.評価人の信頼性
のそれぞれを高め、推し進めていくことが挙げられます。


まず、1.について、競売においては評価人の評価に基づいた売却基準価格を出発点として、公開入札というマーケットメカニズムにより売却価格が決まり、必然的に適正価格で売却され、最高価での売却が可能になります。このように、売却基準価格は不当廉売防止の機能をもち、最高価での売却は、債権の極大回収、債務者の財産権の保護、多数当事者の利益調整、後日の価格紛争防止を保証するものです。


次に2.は、資料収集分析委員会ではBITに基づく競売データの分析により、各執行裁判所での売却率、売却価額と市場価格水準との比較・分析を通じ競売市場の実態を明らかにしています。分析の結果、特に大都市圏におけるマンションの売却の場合、売却価額÷評価書の「基礎となる価格」は100%超となっており、このことから「司法競売は安い」ということは「迷信」にすぎないことがご理解戴けると思います。


また、3.について、売却物件の調査結果は、それが記載された評価書がBITに掲載されることによって、インターネット上で市場参加者に共有されることになります。このことは、物件内に立ち入ることができない市場参加者にとって貴重な情報となる外、評価人の豊富な知識・経験と統一された書式によって情報は均質化され、市場参加者に信頼感を与えることになります。


最後に、4.は3.とも関連しますが、物件調査員会が編纂した物件調査マニュアル、評価運用基準並びに各評価人が所属する評価事務研究会における研修等を通じ、各種情報が共有され、評価人の高いスキルが維持されることによって、評価人に対する信頼が確保されるものと確信致します。


最後に、以上の方針の下、KBネットの活動を通じ、競売手続き参加者各位のご信頼を得つつ、会員一人ひとりが司法競売制度の一角の担い手としてスキルを高めながら日頃の評価事務に精励されることを期待申し上げて、ご挨拶とさせて戴きます。




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